雨音。
「シトシト」 「しょうしょう」 「ザーザー」 「ポツポツ」
様々な音色があると思うが、どれも僕はそんなに嫌いではない。
翌日に山越えの過酷なルートを控えたツーリング中のテント泊でなければと言う条件付きではあるが。
夜半にテントを「バチバチ」叩く雨音が、僕を睡魔の抱擁から一瞬だけ開放した時。
「あ〜〜、雨か」
僕の心は、少し重くなる。
しかし疲労の蓄積した体には、テントを叩く雨音も目覚ましの音から子守唄にあっという変わり、翌朝を思いながらも睡魔との熱い抱擁は再開する。
そんな夜から二日目は、始まった。
熟睡後の朝、雨音はしない。
「良かった。」
この日の予定ルートは、富士山を五合目まで上り、田貫湖とは富士山を挟んで反対側にある山中湖そばのキャンプ場までの山越えルート。
雨など降っていようものなら、
「寒い」
「危ない」
「疲れる」
の三拍子が揃う地獄ルートになってしまう。
雨音がしないことに安堵し、
心地よい気だるさをひきずりながらテントから出て見えるものは・・・
真っ白。
富士山の方を見てもその姿を見ることはできず、今日の予定ルートも白い霧に包まれている。
みんなに富士山の姿と富士山から見える景色を見て欲しいと思っていたけれど、
残念ながらルート変更を考慮に入れなければ。
とはいえ焦っても始まらない。
まずは仲間の入れてくれた美味しいコーヒーで寝ぼけた体を起こしながら作戦会議。
仲間と行くツーリングの楽しさはコレだ。
あーだ、こーだと話しながらルートを相談する。
おそらく雨が降っていて気温も低いだろう山登りルートは、走りたくない。
満場一致で決定。
が、せっかく海外から走りに来てるみんなの貴重な一日を只の移動日にもしたくない。
20年以上前、この辺りによく走りに来ていた頃の記憶を掘り起こし面白そうな道を脳内検索。
近場のダートを織り交ぜたルートを軸に臨機応変に道を変えていくことで決定。
そうして僕たちは走りだした。
ただここだけの話、僕の心は不安でいっぱい。
「この辺のどっかにダートがあったはず」と思っているがなにせ記憶は20年前。
「道が残っていますように」そう願う一心で走り、変わらぬ姿で見つけたダートの入り口に小踊りしたいぐらいだった。
走り始めたオフロードは、この辺り特有の深い緑と霧でかなり神秘的な雰囲気。
土を噛む音は心地よく。
仲間たちも楽しそうに走っている。
ほっと胸をなでおろしたのだ。
圧巻とはこんな感情の時に抱くのだろう。
みんな4泊5日分の荷物満載自転車にもかかわらず、
あまり気にした様子もなく思い思いのライン取りと土を蹴る音をさせている。
コレが彼らの持つ、走ることを楽しむ精神の現れ。
「自転車が・・・」「タイヤが・・・」「体調が・・・」「路面が・・・」
なんて言うこともない。
DeSalvoのマイクなんてスリックタイヤなのに存分にオフロードを楽しんでいる。
ソレを知っていること、コレがかれらの「強さ」なんだと実感する。
オン・オフ問わずに常に楽しそうで、
そりゃ登りでは苦しそうに顔を真っ赤にして登っているし、
お腹が空いてくるとつらそうな感じになる。
でも彼らは、真剣に遊んでる。
「辛いこと」も「楽しいこと」も同じ遊び。
唯一困ったことは、大好きなカッコいいクルマを見つけると止まってワイキャイ言い始めるので先に進めなくなること。
そんな彼らの素の部分に少し触れられた冒険の2日目。
キャンプ場に到着しても、日本のライド事情や日本ならではのスタイルを持つ今晩のキャンプ場のこと、
お風呂の文化や、未だ見ることの出来ない富士山の話題、お互いの家族の話などで盛り上がりながら夜は更けていく。
夜更けに仲間2人が到着する予定だったけど、またしても睡魔の誘惑に勝てず。
お出迎えできなかったというのはここだけのお話。
Frame | DeSalvo | Ti Disc Cross |
Fork | Ritchey | WCS Cross Carbon Disc Fork |
HeadSet | ChrisKing | Inset1 |
Wheel | Rolf | |
Tire | Clement | Strada LGG 28c |
Stem | Ritchey | WCS |
SeatPost | Ritchey | WCS |
Main Group | Shimano Ultegra di2 | with 11/36T Cassete(!!!) |
Handle Bag | Reverate Design | Harness |
Seat Bag | Reverate Design | Viscacha |
Frame Bag | Reverate Design | Tangle Frame Bag |