BIKE to 霜月まつり
2018/12/29

BIKE to 霜月まつり


RIDE DATA

天気
最低気温
-2.6
走行距離
139.9km
獲得標高
4077m
ライド時間
17時間
変速回数
4
宿泊
平岡駅

これまでこのRIDE LIFEでもお燈まつり(和歌山)とねぶた(青森)のライドレポートを書いているように、お祭りを観に行くのが好きだ。
毎年行きたい祭りを番付風にしたカレンダーを製作していて、テレビや新聞、ネットなどで面白そうな祭りを見かけるとメモして調べるというのを、もう15年以上続けているので、そろそろ目新しい祭りは無いだろうと思うのだけど、そんな事は全然なくて、毎年びっくりするような新しい発見がある。日本は広くて深い。まだまだ未知の祭りがたくさんある。

そんな話をあちこちでしていると、うちの地元にはこんなのがあるよと知らせてくれる人も多い。
RIDEALIVE2018伊那で地元の野菜やジビエなどを使った美味しい料理を提供してくれた、ヤマドリ食堂に教えてもらったのが今回の霜月まつりだった。写真を観てこれはやばいやつだと直感して、すぐにカレンダーに予定を作った。
 
 

どんな祭り?

霜月まつりをひと言で説明するのは難しい。冬至を境に太陽のチカラが回復していく一陽来復の冬至祭であり、仏教や神道の要素もあり、かつての領主遠山氏の祟りを鎮める意味もあり、土着信仰でもある。夜を徹して湯立てを行い、神楽を舞い歌いながら、それらの要素をひとつづつ順番に奉っていくのだ。

詳しくは遠山郷のホームページにて。
http://shimotsukimatsuri.com/

霜月まつりは遠山エリアで開催されるいくつかの祭りの総称であり、12月中旬まであちこちで開催される。SimWorksの定休日である木曜日にはどうやら下栗の里にある拾五社大明神で開催されるようだった。この下栗はまた強烈な場所で南アルプスを望む急斜面に張り付くようして暮らす人口150人程度の集落、九十九折の頂上にある神社は目指すべく場所として不足は無かった。
 
 

歴史を調べながらルートを引く

目的地は決まったので次はルートだ。
名古屋から下栗の里までは177km4200mUP。ロードバイクなら行けそうな範囲だが、今回は夜間の氷点下の中で祭りを観て、一泊する必要があるため、テントや寝袋、防寒着の装備が必須。自転車はディングル固定なので、走れる距離も短くなる。
もう一つ、この霜月まつりは古い交易と巡礼の道”秋葉街道”と関係が深いことから、その歴史ある道を辿りたいという考えもあった。
色々と勘案して、秋葉街道の起点である浜松をスタートし、酷道として名高い国道152号線を北上するルートに決めた。

始発の電車で輪行し、通勤の人で賑わい始めた浜松駅を朝7時すぎにスタートした。
まずは二俣街道を北上する。かつて武田と徳川が激しく戦ったエリアは、信州と遠州の境界にある交通の要衝だ。
 

 
国道152号に合流し、東側に藤森照信設計の秋野不矩美術館に立ち寄る。藁を混ぜ込んだモルタルのダイナミックな文様が浮かぶ外壁や、古い木製電柱を使った街灯、くさびで留められた栗の木のガードレールなど、自然素材のディティールが面白い。

ほどなく、秋葉神社へ向かう参道=登山口の交差点が見えてくる。国道152号は直進で続くが、古い秋葉街道はもちろん、秋葉神社へとつながっている。


 
秋葉山の麓から神社までは7.1km,標高差722m,平均勾配10.2%。途中で上の写真のような常夜灯のある旧道や古道のトレイルと交わっている。
 
もう少し時間が許すなら旧道の秋葉街道を制覇したかった。
ここのページに詳しい。こういうHPこそインターネットの醍醐味だと思う。
https://big-bang.at.webry.info/201106/article_1.html
 

塩の道ー巡礼の道

秋葉山本宮秋葉神社は全国の秋葉神社の総社で、日本最強の火属性の神社だ。カグツチや、霜月まつりの湯立とも関連する竈神を御祭神としている。江戸中期頃から、伊勢参りや熊野詣と同じく、巡礼の目的地として活況を呈していて、その名残が旧道に残っている。常夜灯と案内看板を頼りにいくつかの旧道を自転車を担いで歩いた。
 

 
秋葉神社の人影はまばらだった。すでに正午を過ぎているのにまだ先は長い。売店でココアを飲んですぐに出発する。スーパー林道天竜線を進めば南アルプス最南端の稜線に出るが、152号に合流する水窪(みさくぼ)まで30kmの看板を見て観念し、途中の分岐から下山する。
 
林業の重機の間を抜け、美しい茶畑を横目に天竜川まで下る途中、まだ15時前だというのに、太陽は山に隠れてしまった。日照時間が短い谷あいの地域において、冬至を祝い、エネルギーの象徴である火をとりわけ神聖視する事を少し思った。
 

 
道程はまだ1/3。すれ違い困難な場所が多くなってきて、代表的な酷道と評される国道152号線を天竜川に沿って遡上する。
473号との分岐から旧秋葉街道へ入る予定だったけどこれもパス。すでに少し暗くなってきているが、まだこの先に今回の最難所”青崩峠”があるのだ。
 

国道152号線 青崩峠

夕闇に包まれる中、峠の手前の水窪に到着したけど、飲食店は全て定休日で閉まっていた。
調べると、峠を越えた先で入る予定だった道の駅の温泉と食堂も木曜日で定休日。空に残っていた僅かな明かりと一緒にお風呂と夕食の希望も無くなってしまった。
仕方ないので、山道商店という良い名前のスーパーで食料と水を調達する。
 
すっかり夜になり細い月が弱々しく照らす道を登っていく。
秋葉街道を更新する形で作られた国道152号は途中2箇所で分断されている。そのひとつがこの青崩峠。地盤が弱く車道が作れないのだ。
遠州側の麓では再度トンネル掘削のテストが行われていた。
国道152号の看板が出ているにも関わらず、迂回路であるヒョー越峠との合流地点までは道路の崩落が酷く、滑落の危険もある。今回は仕方なく通ったけど、夜間の通行は非常に危険だし面白くないので止めた方が良い。



 

深夜の下栗の里へ

青崩峠から600mほど下って、定休日で閑散としている道の駅で冷たくなったパンをほうばる。温度計は1℃の表示。
ここからまた下栗の里の神社まで600m登らなければならない。少し雪も降ってきた。
山奥の祭りに行く時はいつもそうだけど、会場が目に見える距離になるまで祭りの雰囲気が一切無い。人影が無いと本当にこの先で祭りなんてやっているんだろうか、、、と不安になる。

聖岳登山口の方面へ走り標高を上げていく。
この日は双子座流星群の極大日だったので空を見上げながら登っていると、星明かりのすぐ下に人里の明かりが見えた。目指す下栗の集落だ。あそこまで登るのか、、、

昼間の下栗はこんな感じらしい。
http://www.shimoguri.com/

集落の入口まで来て、そこからカーブの連続で150mを一気に登る。
途中から祭囃子が僅かに聞こえて来ると体の疲れも吹っ飛んでいった。
 

拾五社大明神


 
下栗の里の1番高い所にある神社に到着すると、消防団らしき人達が一斗缶の焚き火を囲んでいた。神社の扉は全て閉まっていて、入り口が分からない。
教えてもらった重い引き戸を開けると、そこには強烈な空間が広がっていた。
 



 
深夜3時頃、まだ全ての演目が終わっていないけど、始発に乗って出勤するためにはそろそろ出発しなくてはならなかった。
道の駅まで引き返し、418号を下ってJR飯田線平岡駅まで走った。
寝袋とビビィで仮眠する場所を探しながら走っていると、駅の下にちょうど良いベンチを発見し横にならせてもらった。
翌朝、電車の時間が迫っていたので遠慮させてもらったけど、従業員の方にお味噌汁でも作ってあげようかと声をかけてもらった。ありがたい。
 

 
今回のライドはここまで。
塩の道、巡礼の道としての秋葉街道はまだまだ先へ、塩の終着点である塩尻まで続く。
その道中には何度か観に行った農村歌舞伎の公演がある大鹿村がある。
さらに手前には、同じく塩を運んだ伊那街道や足助街道などと接続していて、その街道沿いには花まつりという、同じく湯立の神楽を舞う祭りがある。
 
古い道に多層的に積み重なる歴史に寄り道しながら走るのは面白い。
その終着点が平安-鎌倉時代から変わらない形式の祭りというのは象徴的で良くできたルートだと自画自賛しつつ、次なるルートを引き始める。

 

 
参考資料
信州遠山郷
http://tohyamago.com/
遠山地名考
http://www.mis.janis.or.jp/~npowada/timeikou8.html
塚原琢哉写真展「遥かなる遠山郷 60年前の記憶 The Utopia: Toyama Village」
https://www.shinmai-mediagarden.jp/event/803.html


Today's Rider

BIKE to 霜月まつり
Monjya【SimWorks
-BIKE SPECS-
Frame Rew10Works Breakaway CX
Wheel SURLY
Velocity
Ultra New Hub 135mm Disc/Fixed
Aileron
ディングルギア:46-17T(2.7)/42-21T(2.0)
Front Tire SimWorks by Panaracer VOLUMMY 700×38c
Rear Tire WTB Nano 40c
Touring Bag Porcelain Rocket Custom FrameBag
MCA
Nugget Dry bag
Mr.Fusion
-Wear SPECS-
First Layer finetrack ドライレイヤー スキンメッシュ
Second layer UNDER ARMOUR コールドギアLS
T-shirts UNIQLO メッシュクルーネックT
Jacket Cafe du Cycliste Heidi Winter Jacket
Outer Nanga AERIAL DOWN PARKA PACKABLE
Cap Welldone Winter Cycle Cap
Pants Snow Peak フレキシブルインサレーションショーツ
Socks mont-bell メリノウール トレッキング ニッカソックス
Shoes QUOC GRAN TOURER
-野宿 SPECS-
テント OUTDOOR RESEARCH Helium Bivy
寝袋 mont-bell UL.スーパースパイラル ダウンハガー 800 #3
パッド 山と道 Minimalist Pad
輪行袋 FAIRWEATHER Bike carry bag
その他 工具セット,バッテリー,ケーブル,財布,カメラ,歯ブラシ,カミソリ,エイドキット
-装備 Memo-
夜間の峠越え用ライト
前後ライトに加え、ヘッドランプは必須。車載のCATEYE VOLT400は5mぐらい先の地面を照らし、もっと先や周囲環境の確認は視線と一緒にヘッドランプを動かす。2灯あると距離感の把握にも良い。明るさより重要なバッテリーの持続性。走る時間を予測して、電池切れにならないように予備電源を用意する事。(ただしエネループ等の充電池は電圧が安定しないので良くない。)
F:CATEYE VOLT400
R:CATEYE WEARABLE X(サドルバッグに装着)
H:mont-bell パワーヘッドランプ(電球色があるのが好き)
バッテリー:Anker PowerCore II 10000(iPhoneと共通)

気温15℃から-5℃まで対応するウエア
finetrackのファーストレイヤーで汗を透過し、UNDER ARMOURのコールドギアで吸水,発散,保温。CAFE DU CYCLISTEのHeidi Winter Jacketで防風と保温。NANGAのダウンジャケットは深夜停滞時と就寝時の保温。暑い時はジャケットをサドルバッグにくくりつけた。
スノーピークのインサレーションショーツとウールタイツ、mont-bellのウールハイソックスで丁度良く、ヒルクライム時はソックスを少し下げて放熱。深夜は靴先にホッカイロを入れた。
帽子はWelldoneのウィンターキャップ。耳あて付きで暖かかった。予備としてmont-bellバーサライトレインウエア上下も携帯した。
ウェアはとても良く機能して快適だった。

歩けるビンディングシューズ
QUOC グランツアラーを着用。走りやすさと歩きやすさのバランスは今回ようなライドに最適。ダートや担ぎがある道は滑落等の危険を少しでも減らすためにシューズの選択はとても重要になってくる。

パッキング
ポーセリンロケットの両開きドライバッグ“Nugget”を使ってみた。これがあると、MCAが荷物のサポーターからフロントバッグに進化するようなイメージ。寝袋とレインウエアとアメニティをまとめて入れた。取出しのアクセスはサドルバッグより悪いので、使用頻度の少ない、かさばるものを入れると良い。
寝袋、ビビィ、ダウンジャケットを入れてもまだ積載量に余裕があり、途中で購入したパンなどの夕食も入れる事ができた。

RIDEALIVE 2018

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